- HOME
- 島浩史院長の想い
椎間板ヘルニアの手術について
顕微鏡下手術と内視鏡下手術に対応しています。
脊椎内視鏡視下手術(MED法)の利点
脊椎内視鏡手術は、16mmの切開を加えるだけで処置が可能な術式です。
また、筋肉などの軟部組織を骨から剥離しないため、出血が少なく、術後の疼痛も軽微ですので、当科では通常、術後5日目には退院します。
- 手術時間が約1時間と短い
- 傷口が16mm
- 出血が少ない
- 筋肉などを骨から剥離しないので治りが早い
- 術後の痛みが少ない
- 手術後、数時間で歩行が可能
- 約5日で退院可能
- 早期社会復帰が可能
以上のように、とても体への負担がすくない術式です。
顕微鏡手術の利点
一方で、脳神経外科では、脳腫瘍や脳動脈瘤の手術を手がけており、手術用の顕微鏡を使って、ミリ単位の細かい作業をするのが得意です。したがって、脊椎の手術にも、ほとんどの場合に手術用顕微鏡を使います。
顕微鏡を使う利点は、小さい切開で、狭い術野でも、明るい照明を当て、神経や血管などの細かい構造物を拡大し、手術を行うことができる点です。また、内視鏡で使用するような16mmの筒に自分の手の動きが制限されないため、神経の裏側にあるヘルニアを剥離したり、摘出したりする操作がより確実に行えます。さらに神経への圧迫を患者さんに負担を少なく削除する手段として2019年より超音波メスを採用しました。超音波メスは振動によって骨を削るため、骨を削る際に神経や組織を傷つけにくいのが特徴です。このようにして、私たちは、手術に伴うリスクを、限りなくゼロに近づけるように努力をしています。
- 対象が立体的にみえる
- 内視鏡で使用するような16mmの筒に自分の手の動きが制限されない
- 手術時間が約1~1.5時間
- 傷口が20mm
- 出血が少ない
- 術後の痛みが少ない
- 手術翌日歩行が可能
- 約5日で退院可能
- 早期社会復帰が可能
当院では顕微鏡、内視鏡の両者に習熟しており、顕微鏡と内視鏡のいずれでも対応可能です。特に硬いヘルニアや、再手術の症例などでは顕微鏡の方が摘出の確実性が高いと思われます。一方、内視鏡の方が傷口は数mm小さいことが多いと思われます。しかし、それ以外では、顕微鏡と内視鏡の違いはほとんどないと言ってよいでしょう。
したがって、当院では患者さんの状態をみて、よりよい方法で術式を選択することができます。
腰椎椎間板ヘルニアに対するコンドリアーゼ椎間板内注入療法
腰椎椎間板ヘルニアは自然に縮小したり、大きさは変わらなくても症状がおさまったりするケースが多くみられます。このため、まず安静、薬物治療、神経ブロック、コルセットなどの保存療法で様子をみます。保存療法で効果がみられない場合、その他の治療が検討されます。
コンドリアーゼ注入療法とは
腰椎椎間板ヘルニアの治療の新たな選択肢として、コンドリアーゼを椎間板内に注入する方法が2018年3月に承認されました。ヘルニコアの有効成分コンドリアーゼは、髄核の保水成分(プロテオグリカン)を分解する酵素です。なぜ、保水成分の分解酵素が椎間板ヘルニアに有効なのでしょうか?通常、髄核には保水成分が豊富にあるため、水分を含んで膨らんだ状態にあります。これは、飛び出して神経を圧迫しているヘルニアの髄核でも同じです。
この髄核に適切な量のヘルニコアを注入すると、コンドリアーゼによって髄核内の保水成分が分解され、水分による膨らみが適度にやわらぎます。その結果、神経への圧迫が改善し、痛みやしびれが軽減すると考えられています。
コンドリアーゼ注入療法の特徴
すべてのタイプのヘルニアには使用できないこと、現時点では生涯に1回しか使用できないこと、手術に比べて効果の確実性はやや劣ること、効果がでるまで手術に比べてやや時間がかかること、などの特徴を考慮して使用する必要はありますが、局所麻酔でできる体にやさしい治療法として普及してきています。当院でも患者さんのヘルニアの状態を確認の上で、ご希望に応じて使用しています。
コンドリアーゼ注入療法の治療手順
❶レントゲン台に横になり、体の位置を調整します。
X 線でヘルニアのある椎間板を確認しながら、針を刺す場所を決めます。
❷ 針を刺す位置を消毒します。
❸ ヘルニアのある椎間板内に針を刺し、ヘルニコアを注射します。
❹ しばらく安静にします。薬による副作用がないかなどの確認をして終了します。
脊椎手術実績
2012年 | 頸椎18 | 腰椎38 |
---|---|---|
2013年 | 頸椎17 | 腰椎36 |
2014年 | 頸椎13 | 腰椎68 |
2015年 | 頸椎21 | 腰椎51 |
2016年 | 頸椎16 | 腰椎40 |
2017年 | 頸椎10 | 腰椎44 |
2018年 | 頸椎9 | 腰椎45 |
2019年 | 頸椎5 | 腰椎32 |
2020年 | 頸椎7 | 腰椎23 |
2021年 | 頸椎13 | 腰椎28 |
2022年 | 頸椎9 | 腰椎30 |
2023年 (2023年6月30日現在) |
頸椎6 | 腰椎11 |
(関連病院での指導、執刀含む)